調査:投資詐欺の偽口コミは、乗っ取られた大学のサイトに仕込まれている
要約: 有名人を使って宣伝される投資プラットフォームが詐欺かどうかを確かめようとGoogleで検索すると、「詐欺ではない」とする「レビュー」が見つかることがよくあります。InvestRedFlagsが、広告で検出したプラットフォームの検索結果を調べたところ、そうしたレビューのかなりの部分が、大学、公的機関、NGOのウェブサイトに置かれていました。サイトの持ち主が知らないうちに、第三者が設置したものです。
わかったこと
2026年10月29日と30日に、データベースにあるプラットフォーム名を review、scam、legit などの言葉と組み合わせてGoogleで検索しました。Quantum AI、Immediate Edge、Immediate Growth、Power Trades など、特によく知られた名前のいくつかで、上位の結果に “Review 2025! Scam or Legit? Real Users & Results – Is It Worth €250?” のようなほぼ同じタイトルのページが並んでいました。置かれていたのは次のようなサイトです。
| サイトの種類 | 国 | 宣伝されていたプラットフォーム |
|---|---|---|
| 公立大学 | 米国(複数) | Quantum AI、Power Trades、Immediate Growth、Fluxquant、Bitcoin 360 AI など |
| 公立大学 | 英国 | Fluxquant、Elitux Flux、Singfable Flux、Trade Vector AI |
| 公立大学 | スペイン、ポーランド、インドネシア、タイ | Immediate Edge |
| 公立大学 | ベトナム | Quantum AI |
| 公立大学 | トルコ | Wealth Catalyst |
| 公的機関 | イタリア | Immediate Edge |
| NGO | ブラジル | Immediate Edge |
サイト名は挙げません。ドメインを公開しても、そうしたページをさらに目立たせるだけだからです。
これらの機関は加害者ではなく被害者です。おそらく、古いウェブサイト、忘れられたサブドメイン、更新されていないWordPressなどを悪用され、何百ものページをアップロードされたのでしょう。10月30日に再確認したときには、いくつかはすでに削除されていましたが、検索エンジンにはまだ表示されていました。
なぜこんなことをするのか
検索エンジンは、評判の良いドメインにあるコンテンツをより信頼できるものとして扱います。大学や政府のサイトにあるページは、新しく作ったブログよりずっと早く上位に表示されます。この手法はパラサイトSEOと呼ばれます。これまでアダルト、ギャンブル、ダイエット商品で確認されてきました。2026年5月にはThe Stanford Dailyが、スタンフォード大学のサブドメインへのこうした攻撃を報じています。私たちが見つけたのは、投資詐欺のネットワークが、自分たちの「評判」のために同じ手法を使っているということです。
目的は単純です。広告を見た人が疑問を持ち、Googleで検索します。最初に見つかったのが「大学」の名前が入ったサイトで、「詐欺ではない」と書かれていれば、電話番号を入力してしまう可能性が高まります。
偽口コミのほかの仕組み
乗っ取られたサイトは一部にすぎません。同じプラットフォームについて、次のものも見つかりました。
- 新聞の有料広告記事。 一部の新聞は「brand PR」「partner exclusives」「impact feature」「spotlight」などの表示を付けた枠を販売しています。いくつかの国の有名な新聞のそうした枠に、これらのプラットフォームを好意的に紹介するレビューが載っていました。表示は小さいことが多く、読者は新聞社自身の記事だと思ってしまいます。
- 配信サービスで流されるプレスリリース。 経済ニュースのポータルに自動的に転載されます。
- 無料のドキュメントやグループ。 HackMDのページ、Googleグループ、Googleサイト、Substack、Mediumなど。すべてが同じ登録フォームにリンクしています。
- 無料ホスティングで数分で作られたサイト(.pages.dev、.netlify.app)。「platform-review」「platform-canada」のような名前です。
InvestRedFlagsの各プラットフォームのページでは、こうしたページが見つかったサイトを、リンクなしのテキストで載せています。
追記:「公式」サイトとレビューの工場
10月30日に、広告で見かける架空の名前(Keen Reckonvault、Altvecto、Wasserfall Investtra、Lacrecencia…)をひとつずつ、もう一度Googleで検索しました。見えてきたのは、大規模に動く工場です。
- 1つの名前に複数の「公式」サイト。 1つのプラットフォームに、国名や拡張子を変えたドメイン(.online、.live、.pro、.top、「-es」「-uk」「it-」…)が4〜8個あることがよくあります。10月30日の時点で、こうしたドメインを750以上記録しており、各プラットフォームのページにリンクなしで載せています。
- すべてに同じレビューサイト。 ある暗号資産のマイニング統計サイトは、109の異なるプラットフォームの検索結果に出てきます。投資と関係のないほかのサイトも、同じように繰り返し出てきます。どれも「ユーザーの反応は好意的」と書いたり、「詐欺ではない」と結論づけたりするテンプレートの「レビュー」を公開しています。
- 他社サイト上の無料ページ。 博物館や図書館向けのデジタルコレクションサービス、クリエイター向けのサイト、大手企業のフォーラムのページ。
- 乗っ取られてはいないが、だまされている学術サイト。 大学の学術誌のサイトの一部には、そのアドレスのまま、別のドメインにあるページを表示できてしまう欠陥があります。Googleはそれを大学のページとしてインデックスします。一方で、本当にコンテンツが埋め込まれているケースもあります。アフリカのある公的機関のサイトには、1つのプラットフォームについてのカテゴリーがまるごとありました。
- 前もって用意されたレビュー。 これらのサイトのサイトマップには、各ページの日付が載っています。データベースにある、日付のわかる「レビュー」があった126のプラットフォームのうち、76では最初の広告を見る前にレビューが公開されていました。その半分は少なくとも22日前、27は1か月以上前です。最も古いものは7月の日付でした。広告の監視を始めたのは10月下旬なので、もっと前から動いていたキャンペーンもあるかもしれませんが、パターンは明らかです。被害者が名前を検索する前に、レビューのネットワークは準備ができているのです。これらのサイトは、私たちがまだ広告で見ていない2,400以上の名前もすでに「レビュー」しています。ドメインが登録されたらすぐに検出できるよう、監視しています。
- YouTubeも。 「レビュー」動画も同じパターンで、100以上のプラットフォームが共有する転送用ドメインの網を通じて登録ページにリンクしています。詳しくは2つ目の調査で説明しています。
身を守るために
- 最後にフォームがあるレビューは疑う。 独立したレビューが電話番号を聞くことはありません。
- タイトルだけでなくドメインを見る。 医学部のサイトや2022年の学会のサイトにある「投資レビュー」は場違いです。
- 推薦する記事に「sponsored」「partner」「PR」の表示がないか確認する。
- 投資の前に、必ず金融庁の登録一覧で確認する。 業者の登録の確認方法と偽口コミの見分け方もご覧ください。
被害を受けた機関の方へ
こうしたサイトを管理している方は、Googleで site:あなたのドメイン "review" "scam or legit" と検索し、自分で公開していないページがないか調べてください。古いサブドメインや、保守されていないWordPressや動画の環境も確認してください。この情報の更新をご希望の場合は、ご連絡ください。
調査方法:2026年10月29日と30日に、データベースにあるプラットフォーム名を使って検索エンジンを手作業で検索しました。結果のタイトルや抜粋に投資プラットフォームのレビューが表示されたドメインだけを対象にしています。マルウェアにさらされるのを避けるためページは開かず、表示されるかどうかは技術的なリクエストだけで確認しました。